「買ったはいいけど、文字が小さくて…」「電話の音が聞こえにくい…」「設定が難しくてよく分からない…」
iPhoneを使い始めたシニアの方から、そんな声を聞くことがあります。iPhoneには便利な機能がたくさんありますが、設定が少し複雑に感じられるかもしれません。
このガイドでは、画面のスクリーンショット(写真)はありませんが、一つ一つの手順を言葉で丁寧に説明していきます。ゆっくり、ご自身のペースで進めてみてください。この手順通りに進めれば、iPhoneをもっと見やすく、聞きやすく、そして安心して使えるようになります。
まず最初に:設定アプリを確認しましょう
iPhoneの様々な設定は、「設定」というアプリで行います。ホーム画面(アプリのアイコンがたくさん並んでいる画面)にある、灰色(または白地)の歯車の形をしたアイコンを探してください。これが「設定」アプリです。これから説明する手順は、基本的にこの「設定」アプリを開くことから始まります。
1.文字をもっと見やすくする設定
1-1. 文字のサイズを大きくする
小さな文字を読むのが大変な場合は、iPhone全体の文字サイズを大きくしましょう。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)を指で軽く押します(これを「タップ」と言います)。
-
設定画面が開いたら、指で画面を下から上にゆっくりなぞって(これを「スワイプ」と言います)、「画面表示と明るさ」という項目を探してタップします。
-
「画面表示と明るさ」の画面が開いたら、「テキストサイズを変更」という項目を探してタップします。
-
画面の下のほうに、左右に動かせる丸い印(スライダー)が表示されます。
-
この丸い印を指で押さえたまま右に動かすと、画面上部の見本の文字が大きくなります。
-
ご自身が見やすいと感じる大きさになったら、指を離します。
-
これで設定は完了です。画面左上の「< 画面表示と明るさ」という文字をタップして一つ前の画面に戻るか、ホームボタンを押すか画面下部から上にスワイプしてホーム画面に戻ってください。いろいろなアプリで文字が大きくなっているはずです。
1-2. 文字を太くする
文字を太くすると、さらに見やすくなることがあります。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「画面表示と明るさ」をタップします。
-
「画面表示と明るさ」の画面で、「文字を太くする」という項目の右側にあるスイッチを探します。
-
スイッチが灰色(オフ)の場合は、指でタップして緑色(オン)にします。
-
「適用するとiPhoneが再起動します」という確認メッセージが出ることがあります。その場合は「続ける」をタップしてください。iPhoneが自動で再起動し、完了すると文字が太字で表示されます。(再起動しない場合もあります)
-
これで設定は完了です。
1-3. 画面全体を大きく表示する(拡大表示)
文字だけでなく、アイコンやボタンなども含めて画面全体を少し大きく表示したい場合に設定します。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「画面表示と明るさ」をタップします。
-
画面を下の方へスワイプし、「表示」という項目(「拡大」と書かれているかもしれません)を探してタップします。
-
「標準」と「拡大」のどちらかを選ぶ画面になります。
-
「拡大」のほうをタップして選択します(チェックマークが付きます)。
-
画面右上の「設定」または「完了」という文字をタップします。
-
確認メッセージが表示されたら、「“拡大”を使用」をタップします。
-
画面が一瞬暗くなり、設定が適用されます。アイコンなどが少し大きく表示されるようになります。
2.音を聞きやすくする設定
2-1. 着信音や通知音の大きさを変える
電話の着信音や、メッセージが届いた時の通知音が聞こえにくい場合は、音量を調整しましょう。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「サウンドと触覚」という項目を探してタップします。
-
「着信音と通知音の音量」という項目(または単に「音量」と書かれている場合もあります)の下に、左右に動かせる丸い印(スライダー)があります。
-
この丸い印を指で押さえたまま右に動かすと音が大きくなり、左に動かすと小さくなります。動かすと実際に音が鳴るので、ちょうど良い音量に調整してください。
-
【ポイント】 スライダーの下にある「ボタンで変更」というスイッチを緑色(オン)にしておくと、iPhoneの側面にある音量ボタン(上下に2つ並んだボタン)で、いつでも着信音や通知音の大きさを変えられるようになり便利です。灰色(オフ)だと、側面ボタンでは音楽や動画の音量しか変えられません。
-
調整が終わったら設定完了です。
2-2. バイブレーション(振動)を設定する
音が聞こえなくても、iPhoneが振動することで着信や通知に気づきやすくなります。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「サウンドと触覚」をタップします。
-
画面の上の方にある「着信スイッチ選択時(または 着信モード)」や「消音スイッチ選択時(または 消音モード)」といった項目の中に、「バイブレーション」や「触覚」という設定があります。
-
「着信スイッチ選択時」をタップし、「常に再生」または「着信時に再生」を選択すると、マナーモード(サイレントモード)にしていない時に音が鳴ると同時に振動します。
-
「消音スイッチ選択時」をタップし、「常に再生」または「消音時に再生」を選択すると、マナーモード中でも振動で知らせてくれます。
-
どちらも「再生しない」以外を選んでおくと、振動するようになります。「常に再生」を選んでおくのが分かりやすいかもしれません。
2-3. 光で着信を知らせる(LEDフラッシュ通知)
背面のカメラの隣にあるライト(LEDフラッシュ)を、着信や通知があった時にピカピカ光らせる設定です。音や振動に気づきにくい場合に便利です。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「アクセシビリティ」という項目を探してタップします。(少し下の方にあります)
-
「アクセシビリティ」の画面で、「聴覚サポート」というグループの中にある「オーディオ/ビジュアル」を探してタップします。
-
画面を下の方へスワイプし、「LEDフラッシュ通知」(または「通知用LEDフラッシュ」)という項目を探します。
-
その右側にあるスイッチをタップして緑色(オン)にします。
-
さらに「消音モードで点滅(または サイレントモードで点滅)」というスイッチも緑色(オン)にしておくと、マナーモード中でも光で知らせてくれます。
-
これで設定完了です。
3.安心して使うための設定
3-1. Wi-Fi(ワイファイ)に接続する
ご自宅などにWi-Fi環境がある場合、接続すると通信料金を気にせずインターネットを使えます。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「Wi-Fi」という項目をタップします。
-
「Wi-Fi」の右側にあるスイッチが灰色(オフ)の場合は、タップして緑色(オン)にします。
-
しばらく待つと、利用可能なWi-Fiネットワークの名前(SSIDと言います)の一覧が表示されます。
-
ご自宅のWi-Fiルーターなどに記載されているネットワーク名と同じものを探して、タップします。
-
「パスワード」を入力する画面が表示されたら、Wi-Fiのパスワード(暗号化キーとも言います)を正確に入力します。大文字・小文字も区別されるので注意してください。(Wi-Fiのパスワードは通常ルーターに貼ってあるステッカーに記載されています。)
-
入力したら、キーボードの右上あたりにある「接続」という文字をタップします。
-
パスワードが正しければ、接続したネットワーク名の左側に青いチェックマークが付き、画面上部のステータスバー(時刻などが表示される場所)に扇形のWi-Fiマークが表示されます。これで接続完了です。一度接続すれば、次回からは自動で接続されることが多いです。
3-2. モバイルデータ通信を管理する
Wi-Fiがない場所でインターネットを使うための設定です。使いすぎると料金が高くなる場合があるので、オン・オフを理解しておくと安心です。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「モバイル通信」(または「モバイルデータ通信」)という項目をタップします。
-
一番上にある「モバイルデータ通信」の右側のスイッチで、オン・オフを切り替えられます。
-
緑色(オン): Wi-Fiがない場所でも、携帯電話会社の電波を使ってインターネットに接続できます(通話とは別です)。通常はこちらをオンにしておきます。
-
灰色(オフ): Wi-Fiがない場所ではインターネットに接続できなくなります。通信量を節約したい場合や、意図しない通信を防ぎたい場合に一時的にオフにします。
-
-
基本的にはオンのままで、Wi-Fi環境を優先的に使うようにiPhoneが自動で判断してくれます。心配な場合は、契約している携帯電話会社に料金プランを確認しておくとより安心です。
3-3. 緊急連絡先を設定する
万が一の時に、ロック画面からでもすぐに特定の相手に電話をかけられるように設定できます。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「緊急SOS」という項目を探してタップします。(少し下の方にあります)
-
「“ヘルスケア”で緊急連絡先を設定」(または「緊急連絡先を編集」)という文字をタップします。
-
「メディカルIDを作成」(または「編集」)という画面に進みます。右上の「編集」をタップします。
-
画面を下の方へスワイプし、「緊急連絡先」という項目を見つけます。
-
「緊急連絡先を追加」という緑色のプラス(+)マークが付いた文字をタップします。
-
連絡先(電話帳)が開くので、緊急時に連絡したい相手を選んでタップします。
-
その人との続柄(「家族」「友人」など)を選ぶ画面が表示されるので、当てはまるものをタップします。
-
緊急連絡先に追加されたことを確認したら、画面右上の「完了」をタップします。
-
さらにメディカルIDの画面でも右上の「完了」をタップします。
-
これで設定完了です。ロック画面から緊急SOSを発信する手順(通常はサイドボタンなどを連続で押す)を行うと、設定した緊急連絡先に発信するオプションが表示されます。
3-4. メディカルIDを設定する
持病やアレルギー、血液型などの情報を登録しておくと、万が一の事故や急病の際に、救助者がロック画面からあなたの医療情報を確認できるようになります。
-
上記「3-3. 緊急連絡先を設定する」の手順の途中、「“ヘルスケア”で緊急連絡先を設定」をタップした後の「メディカルID」画面で行います。
-
画面右上の「編集」をタップします。
-
「氏名」「生年月日」「病気やけが」「アレルギーと反応」「使用中の薬」「血液型」などの項目が表示されるので、伝えたい情報を入力していきます。すべて入力する必要はありません。
-
一番下にある「ロック中に表示」のスイッチを緑色(オン)にすることが重要です。これにより、iPhoneがロックされていても、救助者がこの情報を見られるようになります。
-
入力が終わったら、画面右上の「完了」をタップします。
-
これで設定完了です。
3-5. パスコード(またはFace ID/Touch ID)を設定する
他の人に勝手にiPhoneを使われないように、画面ロックを設定しましょう。
-
パスコード(数字の暗証番号)の設定:
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「Face IDとパスコード」(顔認証モデルの場合)または「Touch IDとパスコード」(指紋認証モデルの場合)または「パスコード」という項目を探してタップします。
-
「パスコードをオンにする」(または「パスコードを変更」)をタップします。
-
6桁の数字を入力する画面が表示されます。覚えやすく、他人には推測されにくい番号を入力します。(「パスコードオプション」をタップすると4桁などに変更も可能です)
-
確認のため、もう一度同じ数字を入力します。
-
これでパスコードが設定されました。iPhoneのスリープを解除する際などに、この番号の入力が必要になります。必ず忘れないようにしてください。
-
-
Face ID(顔認証)またはTouch ID(指紋認証)の設定:
-
上記パスコードの設定に続けて、または同じ設定画面から、「Face IDを追加」や「指紋を追加」といった項目をタップします。
-
画面の指示に従って、顔を登録したり、指紋センサーに指を何度か置いたり離したりして登録します。
-
登録が完了すると、パスコードの代わりに顔や指紋でロックを解除できるようになり、より便利で安全になります。
-
(補足)覚えておくと便利な機能
コントロールセンターを使いこなす
画面の右上隅から下にスワイプ(ホームボタンがないモデル)、または画面の下端から上にスワイプ(ホームボタンがあるモデル)すると、「コントロールセンター」という便利な画面が出てきます。ここからWi-Fiのオン/オフ、画面の明るさ調整、音量調整、ライト(懐中電灯)などを素早く操作できます。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「コントロールセンター」をタップします。
-
「含まれているコントロール」によく使う機能が入っています。「コントロールを追加」から、例えば「拡大鏡」や「テキストサイズ」などを追加しておくと便利です。
Siri(シリ)に話しかけて操作する
「ヘイ、シリ」と呼びかけてから、「〇〇さんに電話」や「今日の天気は?」、「タイマーを5分セットして」などと話しかけるだけで、iPhoneを操作できます。手が離せない時や、操作が面倒な時に便利です。
-
ホーム画面で「設定」アプリ(歯車のアイコン)をタップします。
-
「Siriと検索」をタップします。
-
「“Hey Siri”を聞き取る」のスイッチを緑色(オン)にして、画面の指示に従って声の登録をします。
おわりに
たくさんの設定がありましたが、一度にすべてを完璧にこなす必要はありません。まずは「文字を大きくする」「音量を調整する」など、ご自身が一番困っていることから試してみてください。
少しずつ設定を試しながら、ご自身にとって一番使いやすいiPhoneにしていくのが良いでしょう。もし途中で分からなくなったり、うまくいかなかったりした場合は、遠慮なくご家族や詳しいお知り合い、または携帯電話ショップの店員さんなどに相談してみてください。
このガイドが、あなたのiPhoneライフをより快適で安心なものにするための一助となれば幸いです。
コメント