「もしかして、自分や家族が認知症になったらどうしよう…」
「最近、物忘れが増えた気がする…」
高齢化が進む日本において、「認知症」は誰にとっても身近な問題となりつつあります。まだ根本的な治療法は確立されていませんが、日々の生活習慣、特に「食事」を見直すことで、認知症の発症リスクを下げられる可能性があることが、様々な研究で分かってきています。
「でも、特別な食材や難しい調理が必要なんでしょ?」
いいえ、そんなことはありません!実は、普段お使いのスーパーで手軽に買える身近な食材の中にも、認知症予防に役立つものがたくさんあるのです。
この記事では、認知症予防に効果が期待できる食材と、それらを使った簡単で美味しいレシピをご紹介します。「美味しく、楽しく、健康に」をモットーに、今日から始められる認知症予防の食生活を始めてみませんか?

なぜ食事が認知症予防につながるの?
認知症の中でも最も多いアルツハイマー型認知症は、脳内に特殊なたんぱく質が蓄積したり、神経細胞がダメージを受けたりすることで発症すると考えられています。食生活は、こうした脳の変化に影響を与える要因の一つです。
具体的には、次のような働きが期待されています。
- 抗酸化作用: 活性酸素による脳細胞へのダメージ(酸化ストレス)を抑える。
- 抗炎症作用: 脳内で起こる慢性的な炎症を抑制する。
- 血流改善: 脳への血流を良くし、神経細胞に必要な酸素や栄養を届ける。
- 神経保護: 神経細胞の機能を維持し、ダメージから守る。
つまり、脳の健康を守る働きのある栄養素を積極的に摂ることが、認知症予防の鍵となるのです。
認知症予防に!積極的に摂りたい身近な食材
スーパーで手軽に買える、認知症予防におすすめの食材をご紹介します。

- 青魚(サバ、イワシ、サンマ、アジなど):
- 注目成分: DHA・EPA(オメガ3系脂肪酸)
- 働き: 脳細胞を活性化させ、記憶力や学習能力の維持に関わる。血液をサラサラにし、脳梗塞のリスクも低減。
- 緑黄色野菜(ほうれん草、小松菜、ブロッコリー、かぼちゃなど):
- 注目成分: ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、葉酸
- 働き: 強力な抗酸化作用で脳細胞を守る。葉酸は認知機能低下との関連が指摘されているホモシステイン値を下げる働きも。
- ナッツ類(くるみ、アーモンドなど):
- 注目成分: 不飽和脂肪酸、ビタミンE、ポリフェノール
- 働き: 抗酸化作用、悪玉コレステロールの低減。特にくるみはオメガ3系脂肪酸も豊富。 ※食べ過ぎには注意。1日ひとつかみ程度。
- ベリー類(ブルーベリー、いちごなど):
- 注目成分: アントシアニン(ポリフェノールの一種)
- 働き: 強力な抗酸化作用と抗炎症作用があり、記憶力改善効果も期待される。冷凍ベリーでもOK。
- 大豆製品(豆腐、納豆、味噌など):
- 注目成分: 大豆イソフラボン、レシチン
- 働き: レシチンは脳の神経伝達物質の材料になる。イソフラボンは抗酸化作用を持つ。
- オリーブオイル(特にエキストラバージン):
- 注目成分: オレイン酸、ポリフェノール
- 働き: 抗酸化作用、抗炎症作用。悪玉コレステロールを減らす。
- 全粒穀物(玄米、全粒粉パンなど):
- 注目成分: 食物繊維、ビタミンB群
- 働き: 食後の血糖値の急上昇を抑える。ビタミンB群は脳のエネルギー代謝に必要。
これらの食材をバランス良く、日々の食事に取り入れることが大切です。
簡単美味しい!認知症予防レシピ集
それでは、上記の食材を使った簡単レシピをいくつかご紹介します。
レシピ1:サバ缶と彩り野菜の和風マリネ
- 主な予防食材: サバ(DHA/EPA)、玉ねぎ・パプリカ(ビタミン・ポリフェノール)、酢(血流改善)
- 材料(2人分):
- サバ水煮缶…1缶(汁ごと使う)
- 玉ねぎ…1/4個(薄切り)
- パプリカ(赤・黄)…各1/4個(薄切り)
- ブロッコリー…1/4株(小房に分け、塩茹でまたはレンジ加熱)
- (A) 酢…大さじ2
- (A) しょうゆ…大さじ1
- (A) 砂糖…小さじ1
- (A) オリーブオイル…小さじ1
- (A) 輪切り唐辛子(お好みで)…少々
- 作り方:
- 玉ねぎは水にさらして水気を切る。(辛味が苦手な場合)
- ボウルにサバ缶を汁ごと入れ、軽くほぐす。
- 玉ねぎ、パプリカ、ブロッコリー、(A)を加えて混ぜ合わせる。
- 冷蔵庫で30分ほど味をなじませたら完成。
- ポイント: レモン汁を少し加えても爽やか。作り置きにも便利です。
レシピ2:くるみとほうれん草の白和え
- 主な予防食材: くるみ(オメガ3脂肪酸、ビタミンE)、ほうれん草(葉酸、β-カロテン)、豆腐(レシチン)
- 材料(2人分):
- 木綿豆腐…1/2丁(150g)
- ほうれん草…1/3束
- くるみ…20g(粗く刻むか砕く)
- (B) 白すりごま…大さじ1
- (B) 砂糖…小さじ1
- (B) 薄口しょうゆ…小さじ1
- (B) 味噌…小さじ1/2
- 作り方:
- 豆腐はキッチンペーパーに包み、電子レンジ(600W)で1分半ほど加熱し、水切りをする。
- ほうれん草は塩茹でして冷水にとり、水気をよく絞って3cm長さに切る。
- ボウルに水切りした豆腐を入れ、泡だて器やフォークで滑らかになるまで潰す。
- (B)を加えてよく混ぜ合わせ、ほうれん草とくるみを加えて和える。
- ポイント: 豆腐の水切りをしっかりするのが美味しく作るコツ。人参などを加えても彩りが良くなります。
レシピ3:鮭とたっぷりキノコのホイル焼き
- 主な予防食材: 鮭(DHA/EPA、アスタキサンチン)、きのこ類(食物繊維、ビタミンD)、玉ねぎ(血液サラサラ)
- 材料(1人分):
- 生鮭切り身…1切れ
- 玉ねぎ…1/8個(薄切り)
- しめじ、舞茸、えのきなどお好みのきのこ…合わせて50g程度(石づきを取り、ほぐす)
- (C) 味噌…小さじ1
- (C) 酒…小さじ1
- (C) みりん…小さじ1
- バター(またはオリーブオイル)…5g
- レモン(輪切り)…1枚(お好みで)
- 塩、こしょう…少々
- 作り方:
- 鮭に軽く塩、こしょうを振る。
- アルミホイルを広げ、玉ねぎ、きのこ類、鮭の順に乗せる。
- 混ぜ合わせた(C)を鮭の上にかける。
- バターを乗せ、お好みでレモンを乗せる。
- アルミホイルをしっかりと閉じる。
- オーブントースターまたはフライパン(蓋をして弱火)で15~20分ほど、鮭に火が通るまで蒸し焼きにする。
- ポイント: 味噌マヨネーズ味や、ポン酢しょうゆ味にしても美味しいです。野菜はブロッコリーやパプリカを加えてもOK。
毎日の食事で心がけたいこと
レシピ以外にも、日々の食生活で以下の点を意識してみましょう。
- バランス良く食べる: 主食・主菜・副菜を揃え、色々な食材を摂る。
- 塩分は控えめに: 高血圧は脳血管への負担増。出汁や香辛料を活用。
- 糖質の摂りすぎに注意: 食後の血糖値の急上昇を避ける。野菜から先に食べる(ベジファースト)。
- よく噛んで食べる: 噛むことが脳への刺激になる。満腹感も得やすい。
- 水分補給も忘れずに: 水やお茶などでこまめに水分を摂る。
まとめ:美味しく食べて、脳も元気に!

認知症は、発症するずっと前から脳の中では変化が始まっていると言われています。だからこそ、できるだけ早いうちから、日々の食事に気を配ることが大切です。
難しく考える必要はありません。まずは今回ご紹介したような、スーパーで手に入る食材を使ったレシピを試してみてはいかがでしょうか?
「美味しく、楽しく」続けられる食生活が、あなたの、そしてあなたの大切な人の脳の健康を守る一助となることを願っています。
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