親が公正証書遺言を作ったかどうかを調べる遺言検索は、自分の住まいに近い公証役場に出向いて申し出るものとして動きます。見つかった遺言の写しである謄本は、保管している役場に郵送で請求できます。
検索は全国どの公証役場でも申し出られて、無料です。全国の記録から探せるのは、平成元年(1989年)以降に作られた遺言。返ってくるのは、遺言があるかどうかと、どの役場が保管しているかで、中身は返ってきません。保管しているのは遺言を作った役場で、親が住んでいた町の役場とは限りません。
たとえば、母が2024年に地方の市で亡くなった家。母が公正証書遺言を作ったかどうか、子どもたちは聞いていません。実家を片づけても、公証役場の封筒も、遺言の正本・謄本も出てきませんでした。長男は首都圏に住んでいて、母の町までは片道数時間かかります。運転免許証の住所は今の住所と同じで、住んでいる市で印鑑登録もしています。

家の中から正本か謄本が出てきた場合は、謄本をあらためて請求する必要はありません。公正証書遺言は、作ったときに正本と謄本を1通ずつ受け取るのが普通で、それを使って遺言のとおりに手続きを進めます。ただ、出てきた1通が最後に作った遺言だとは限りません。あとから別の公正証書遺言を作っていたかどうかは、平成元年以降の分なら検索で分かります。
検索は、出向く前提で
日本公証人連合会のQ&Aは、検索を「お近くの公証役場に出向いて」申し出るよう案内しています。郵送で頼めるかどうかには、このQ&Aは触れていません。はっきり書いているのは世田谷公証役場で、電話やメール、郵便などでは検索を依頼できず、役場に来てもらう必要がある、としています。

銀座公証役場も、本人か代理人が役場に来る必要があると書いています。郵送で検索を受け付けると書いた役場は、調べた範囲では見つかりませんでした。どこかの役場が郵送に応じる可能性までは消せませんが、出向く前提で段取りを組むのが確実です。

近くの役場には、電話を一本入れてから
長男は、自宅に近い公証役場に電話して、遺言検索に予約が要るかと、持っていく書類を聞きます。予約は、要らないとする役場もあれば、前もって予約を求める役場もあります。板橋や加古川の公証役場は、電話で遺言の有無を聞かれても答えないと案内しているので、電話で聞くのは手続きのことに絞ります。
持っていくのは、戸籍類と本人確認の書類です。戸籍類は、母が亡くなったことが分かるもの(除籍謄本など)と、長男が母の相続人だと分かるもの。母の除籍謄本に長男の名前が載っていれば、別の戸籍謄本は要らないとする役場もあります。本人確認は、運転免許証のような顔写真付きの身分証か、実印と3か月以内の印鑑登録証明書です。代わりに使える書類は役場によって違うので、それも同じ電話で確かめます。
出向いて申し出ると、遺言があるかどうかと、保管している役場が分かります。役場の名前と、教えてもらえれば作成年月日なども控えて帰ります。
長男が行けないときは、代理人に検索を頼むこともできます。世田谷と加古川の公証役場の案内では、代理人は戸籍類に加えて、長男が実印を押した委任状と長男の3か月以内の印鑑登録証明書、代理人自身の身分証明書と認印を持っていきます。
保管している役場とは、封筒で
保管役場が母の町の役場でも、まったく別の町の役場でも、遠くにあるならここからの手順は同じです。長男はまずその役場に電話して、郵送で謄本を請求したいと伝えます。日本公証人連合会も、保管役場が分かったら前もって連絡して相談するよう案内しています。

送るのは、謄本の請求書と、検索のときと同じ戸籍類、それに本人確認の書類です。請求書の様式、何部要るか、原本か写しかは、その電話で聞きます。
本人確認の方法は二つあります。実印を押した請求書に3か月以内の印鑑登録証明書を付ける方法と、顔写真付きの身分証の写しを付ける方法です。身分証の写しのほうは、郵送に加えて、公証人とテレビ電話で本人確認をします。そのテレビ電話のシステムに2026年10月7日から障害が出ている、と日本公証人連合会が知らせているので、この方法を選ぶなら、使えるかどうかを保管役場に確かめます。
謄本が送り返される先は、本人確認の書類に書かれた住所に限られます。長男は免許証も印鑑登録も今の住所なので、どちらの方法でも謄本は自宅に届きます。書類の住所が今の住まいと違う人は、最初の電話でそのことも伝えておきます。
手数料は謄本の枚数で決まるので、書類が届いてから役場が金額と振込先を知らせてきます。振り込むと、謄本が送られてきます。
「ありません」と言われたら
検索の「無い」は、公証役場で作られた平成元年以降の遺言についての答えです。法務局に預ける自筆の遺言は別の仕組みで、この検索には出てきません。そちらは法務局に別に請求して調べます。
平成元年より前、つまり昭和に作られた遺言は、全国をまとめて調べる検索には入っていません。世田谷公証役場は、帳簿がそれぞれの役場にあるので、作った可能性のある役場に個別に頼む必要があり、いつごろ作ったかなどの絞り込みがないとかなり時間がかかる、と案内しています。加古川公証役場は、昭和に作られた分は、検索を頼んだその役場の分だけを調べるとしています。昭和の遺言を探すなら、母が遺言を作ったかもしれない役場と、それがいつごろだったかの見当が、問い合わせの出発点になります。
2026年10月22日時点。日本公証人連合会のQ&A「遺言」のうち遺言の検索・謄本の請求の項と、同会の正本・謄本の郵便による請求の案内、テレビ電話ソフトの障害のお知らせ(2026年10月7日・9日)、世田谷公証役場の手続案内とお知らせ、板橋・加古川・銀座・川崎・日田の各公証役場の案内、法務省の自筆証書遺言書保管制度の案内(以上、2026年10月22日確認)によります。

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