令和8年度は、多くの家と土地で評価額が決まり直していません。今年その価格を争えるかどうかは、去年1年のあいだに何が起きたかで決まります

共通組版のアイキャッチ。左に「価格が動いたかより、去年1年に何が起きたか」の文字と、「令和8年度の評価額と、審査の申出の3か月」の小見出し。右の濃い緑の円の中に、文字のない図形。生成り色の吊り鐘が一つ、上の輪で吊られて立っている。その右に、同じ形の輪から2本の細い吊り紐がハの字に下り、朱色の横木が水平に下がっている。横木と鐘の胴のあいだにははっきりと隙間があり、触れていない シニアの家計管理

土地と家屋の評価額は、3年に1度、いっせいに付け直されます。直近の付け直しは令和6年度で、次は令和9年度です。令和8年度の課税明細書に並んでいる価格の多くは、令和6年度に決まった額がそのまま置かれています。

評価額を争う手続きには3か月という期限がありますが、この3か月は、納税通知書を受け取った人全員に掛かる数字ではありません。今年それを使えるかどうかは、去年1年のあいだに何があったかで、先に決まっています。だから今年は、残り日数を数える前に思い出すことがあります。

千葉市の審査申出制度のページ。見出し「審査の申出ができる事項は」の下に、「固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)に対する不服に限られます。」「土地・家屋については、基準年度(3年に1度評価替えを行う年度)の価格が、原則として3年間据え置かれるため、基準年度以外の年度では、以下の場合に限り、審査の申出をすることができます。」「※直近の基準年度は令和6年度(2024年度)となり、令和8年度(2026年度)は基準年度以外の年度となります。」の3つの文
見出しは「できる事項は」と聞いているのに、答えの大半は年度の話へ移っていきます。しかも令和8年度がその年度に当たるとは地の文では言わず、名指ししているのは末尾の※だけです。

件数のほうにも、年による大きな差があります。総務省が令和3年にまとめた全国の推移では、評価替えのあった年に跳ね上がった申出の件数が、続く2年はその1〜2割まで落ちます。3周期続けて同じ形でした。

事情があれば、価格が動いていなくても申し出る側に回る

今年の判定は、まず思い当たることがあるかどうかです。家屋なら、去年の1月2日から今年の1月1日までのあいだの、新築・増築・改築や、一部の取りこわし、損壊です。土地には、これとは別の事由もあります。

編集部作成の図。見出しは「令和8年度、価格について申し出られるか」。左に「家屋」「土地」「今年の価格は」の3つの箱があり、それぞれから右へ枝分かれしている。家屋から1つ、「新築・増築・改築、一部のとりこわしや損壊があった」、添え書きは「令和7年1月2日から令和8年1月1日まで」。土地から3つ、「地目が変わった、分筆・合筆があった」(添え書き「令和7年1月2日から令和8年1月1日まで」)、「地価が下がった」(添え書き「土地だけ。令和7年度と令和8年度に限られる」)、「新しく固定資産税がかかることになった」(添え書き「今年の価格が新しく決まる。その価格について申し出る」)。今年の価格は、から2つ、「市が事情を認めて、決まり直っていた」(添え書き「その価格について申し出る」)と、緑の枠と緑の文字で囲まれた「事情があったのに、据え置かれたまま」(添え書き「決まり直すべきだったと申し立てる」)。いちばん下に赤字で「どれにも当てはまらなければ、今年は自分から争えない」
価格が決まり直っていても、事情があったのに据え置かれたままでも、行き先は申し出の側に残ります。分かれるのは申し出の中身のほうで、価格欄が動かなかったこと自体は、対象から外す理由になりません。

思い当たることがあっても、それだけで価格が決まり直すわけではありません。市がその事情を見て、前の年の価格のままでは適当でないと認めたときに、決まり直します。だから、去年たしかに何かが起きたのに、課税明細書の価格欄は前の年から動いていない、ということが起こります。

申し出られるかどうかは、市のその判断とは別に決まります。去年1年のあいだにその家や土地で何かが起きていれば、今年、その価格について申し出られます。

もう一つ、土地だけに開いている道があります。地価が下がって、そのままでは課税上の均衡を失うと市が認めたときは、評価替えの年でなくても価格を修正できます。この扱いは令和7年度と令和8年度に限って足されたもので、家屋にはなく、次の評価替えで役目を終えます。

こちらも申し出る側の考え方は同じです。修正が入った土地は修正後の価格について、入らなかった土地は入れるべきだったという申立てとして、今年の対象に残ります。ただし言えるのは修正の当否までで、土台になっている前年度の価格そのものは理由にできません。

価格欄が動いたかどうかは、去年と今年の課税明細書を並べれば分かります。地価による修正を市が一人ひとりに知らせる義務はなく、努力する義務にとどまるので、自分の土地に入ったかどうかも、確かめられる場所はここです。

どれかに当たった人には、審査の申出を受け付ける期間があります。期間は市が価格を公示した日に開き、納税通知書を受け取った日から3か月で閉じます。通知書の届く時期は自治体ごとにずれますが、多くの自治体では、今年度のこの期間はもう閉じています。

家屋について思い当たることが何もなければ、その価格を今年のうちに自分から争う場はありません。土地の場合は、地価による修正がもう一つの入口として残っています。次の評価替えは令和9年度で、そこでまた、すべての土地と家屋の価格を争える年に戻ります。

価格への不服は税額の側へ回せず、ほかの不満は最初から別の窓口にいる

価格について今年は言えないなら税額のほうで言えばいい、とはなりません。価格への不服を税額への不服の理由にすることは、法律が禁じています。価格そのものを直させる道は、審査の申出と、その決定を相手にする訴訟の二つに限られています。土地の地積の取り方や、家屋の評点の付け方への不満も、価格の付け方の話なので、この二つの側に入ります。

住宅用地の特例が当たっていない、非課税や減免の判断に納得できない。どれも価格の付け方の話ではありません。だから迂回にもならず、最初から別の窓口に属しています。出す先は市長で、手続きの名前は審査請求です。価格のほうの審査の申出と名前はよく似ていますが、出す先も、争う対象も別の制度です。京都市は、非課税と住宅用地の特例の適用を審査請求の例に挙げ、評価額に関する事項はその対象外だと書いています。

京都市の「市税に対し不服がある場合」のページにある対照表。表題は「審査請求と審査申出の違い(固定資産税)」で、左列が審査請求、右列が審査申出。審査事項の行は、審査請求が「賦課処分(例:非課税に関すること、住宅用地特例の適用に関すること)※固定資産評価額に関する事項については、審査の対象外」、審査申出が「固定資産評価額に関すること(例:画地や地積の認定に関すること、家屋再建築費評点に関すること)」。不服申立て期間の行は、審査請求が「処分があったことを知った日(納税通知書が到達した日)の翌日から起算して3箇月以内」、審査申出が「価格公示日(4月1日等)から納税通知書の到達後3箇月を経過するまでの間」
不服申立て期間の行では、同じ納税通知書が左右どちらの欄にも出てきます。左ではその翌日から数え始め、右では到達後3箇月で数え終わる。一枚の通知が、二つの手続で期間の逆の端に置かれています。

こちらの期限も3か月です。ただし数え始めるのは、処分があったことを知った日、ふつうは納税通知書が届いた日の翌日から。価格のほうの期間と、開く日が違います。今年その家や土地で何も起きていなくても、この3か月は動きます。ただし閉じる時期は価格のほうとほぼ同じなので、今年度の分はもう過ぎている人が多くなります。

市が直したときに届く通知が、新しい3か月を動かす

市が自分で、見過ごせない誤りが価格に入っていることを見つけて直したときは、その旨が納税義務者に通知されます。この通知を受けた日から、3か月が新しく数えられます。都道府県の勧告を受けて市が直した場合にも、別の起点が用意されています。

ただし、この3か月は直った箇所にしか掛かりません。京都市は、修正されたあとに審査の申出ができる事項は修正された範囲に限られる、と書いています。

価格が直れば、税額のほうもあわせて直されます。それが何年分に及ぶのかは、別の記事で扱っています。

去年1年のあいだ何も起きていなかった家や土地にも、この通知は届くことがあります。

2026年9月時点の地方税法・行政不服審査法と、千葉市・福岡市・京都市・西宮市の案内、総務省の資料によります。令和8年度についての話です。

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