年金生活者支援給付金の所得の基準額は10月に上がります。同じ日に、判定に使う年もひとつ進みます

共通組版のアイキャッチ。左に「線が上がる日に 年もひとつ進む」の文字と「年金生活者支援給付金と10月1日」の小見出し、右の円の中に、緑の封筒と、その後ろから上に覗く切手付きのはがきのモチーフ シニアの家計管理

緑の封筒は、毎年9月に順次送られます。去年それが来なかった人、届いて出したのに不該当の通知で終わった人、基準をわずかに超えた人に出る少額のほう(補足的老齢)を受け取っている人。去年どの結果だったとしても、今年それが変わるかどうかは、同じところで決まります。今年初めてこの制度を知った人も、親の分を調べている人も、見るのはそこです。

7月15日に公布された政令で、この10月1日から、老齢年金生活者支援給付金の所得の基準額、判定に使う線が、1万7,000円あまり高くなります。

ただ、10月1日に動くのは線だけではありません。判定に使う年も、そこでひとつ繰り上がります。9月分までは令和6年、2024年の1年間に支払われた額で判定し、10月分からは令和7年、2025年1月から12月の額で判定します。

去年届いた答えは、令和6年分に対する答えでした。10月からは、令和7年分でやり直されます。

上下2段の図。上段は「令和8年9月分まで 令和6年分・809,000円」で、令和6年は2024年1月から12月、数えるのはその1年に支払われた公的年金等とその他の所得。下段は「令和8年10月分から 令和7年分・826,500円」で、令和7年は2025年1月から12月、数え方は変わらず見る年が1年ぶん新しくなる。図の下部の注記だけが赤い縦棒と赤い文字で組まれており、そこに、昭和31年4月1日以前生まれは806,700円から824,100円へ、と書かれている
線は昭和31年4月1日の前後で分かれます。赤い行が自分に当たる人は、上の段も下の段も、大きく出ているほうの数字では判定されません。

線があるのは、満額の年金がちょうど乗る高さ。答えは年金の外で変わる

では、線が上がったぶん、去年より超えにくくなったのか。

線は、満額の老齢基礎年金だけを受け取っていた人に、その1年間に支払われた額と同じ位置にあります。制度が始まった令和元年10月から、この10月の新しい線まで、毎年そうなっています。

だから満額の老齢基礎年金だけを受け取っている人から見ると、線は動いていません。上がったのは線と自分の両方で、幅も同じです。

ここから2つのことが出ます。まず、「満額もらっているのだから自分は対象外だろう」が逆だということ。線は、満額の人がちょうど乗るところにあります。

同じ理由で、そこに老齢厚生年金が加われば、すぐに線を超えます。どこで超えるかは保険料を納めた月数で違うので、年金の種類では決まりません。自分がその近くにいるかどうかは、このあと出す1つの数字で決まります。

老齢基礎年金が満額に届いていない人は、そのぶん線より下にいます。だから老齢基礎年金だけで暮らしている人の答えは、年金の外が動いたときにしか変わりません。

線と自分の額が同じだけ動くのは、老齢基礎年金だけのときです。老齢厚生年金が乗っている場合と、年金のほかに収入がある場合は、年金の外が動いていなくても答えが変わることがあります。

そこで思い出すのは、令和7年(2025年)の1年間に、年金の外で何が動いたかです。配偶者が亡くなって遺族年金に替わった。勤めをやめた。パートを減らした。令和7年分の税の申告をやり直した。

所得と並ぶ要件が、もうひとつあります。同じ世帯に市町村民税を課されている人が1人でもいれば、所得がいくらであっても不該当です。だから同居していた課税者が転出した場合も答えが変わりますが、こちらは令和7年のうちの出来事にかぎらず、そのあとの転出も効きます。

老齢基礎年金だけで暮らしていて、その外で何も動いていなければ、今年の答えは去年と同じです。

動いていた人と、老齢厚生年金や年金以外の収入がある人には、数字が要ります。

突き合わせるのは1つ。令和7年の1年間に支払われた公的年金等の合計額に、年金以外の所得を足して、92万6,500円(昭和31年4月1日以前生まれは92万4,100円)と比べます。ここでいう年金の額は、介護保険料や税が差し引かれる前の額です。通帳に並んだ振込額を合計すると、そのぶん低く出ます。

差し引かれる前の合計は、今年1月に届いた「公的年金等の源泉徴収票」の支払金額欄に、1つの数字で出ています。老齢の年金を受け取っている人には、少ない額で暮らしていても届いている紙です。手元で見つからなければ、年金事務所が相談先になります。

足し合わせるのは、公的年金等控除を引く前の額です。天引きされる保険料や税とは別の控除で、これを引いて所得はゼロと数えることはしません。年金以外は所得の額で見ます。遺族年金と障害年金は非課税なので、この合計には入れません。

この92万6,500円は、10月から上がる線の10万円外側にある額です。線を超えても、その10万円のあいだは補足的老齢が残ります。この10万円の差は今回の改定でも動いていないので、外側のこの額も、線と同じだけ上がりました。

65歳以上で老齢基礎年金を受け取っている人なら、この額に収まっていて、同じ世帯に市町村民税を課されている人がいなければ、老齢か補足的老齢のどちらかに当たるはずです。超えていれば、10月分からはどちらも出ません。

この92万6,500円を自分で探しても、機構のページにも厚生労働省のページにも出てきません。そちらに載っているのは9月分まで有効な額で、9月分まではそれで正しいからです。

e-Gov法令検索で、年金生活者支援給付金の支給に関する法律施行令(平成三十年政令第三百六十四号)の令和8年10月1日施行版を指定して表示した画面。法令名の下に「未施行あり」の表示があり、第六条に、法第十条第一項に規定する政令で定める額(補足的所得基準額)は、昭和三十一年四月一日以前に生まれた者については九十二万四千百円とし、同月二日以後に生まれた者については九十二万六千五百円とする、と書かれている
「未施行あり」は、この法令に未施行の改正があるという印です。いま開いているのがその改正後の版で、答えは施行を待たずに出せます。ここに10万円という差は出てこず、置かれているのは突き合わせる金額そのものです。

拾ってもらえる変化と、そうでない変化があります

所得が下がって新たに該当する見込みの人には、令和8年9月頃に請求案内を送る予定だと機構が書いています。

一方、世帯構成の変更や税額の更正で当てはまるようになった場合は「ご自身で認定請求の手続きが必要になります」と、機構も厚生労働省も書いています。さきほどの、令和7年分の税の申告をやり直した人も、市町村の所得情報に反映される時期によっては、こちらに入ります。配偶者が亡くなった人は所得と世帯が同時に動くので、案内を待つより先に確かめたほうが早く済みます。

すでに給付金を受け取っている人は、老齢と補足的老齢のあいだの移動なら自動で切り替わります。手続きはいりません。

ところが去年「不該当」で終わった人は、この自動の輪の外にいます。受け取っていた人がいったん外れて再び当てはまった場合も、まだ一度も認定を受けていない人も、あらためて自分で請求しなければ始まりません。はがきが来ないことは、対象外の証拠になりません。行き先は、給付金専用ダイヤルか年金事務所です。

年内に届けば、10月分から出ます

10月1日から12月31日までのあいだに請求すれば、その年の9月30日に請求があったものとみなされ、10月分から支給されます。封筒が来なかった人も、はがきの提出期限を過ぎた人も、この区切りの内側です。手元にはがきがあれば、8月時点の年金をもとにした見込額が月額で出ています。実額と異なることのある概算です。実績のほうは、令和7年3月時点の平均で、老齢が月4千円台、補足的老齢が月2千円台でした。

法令上の区切りは12月31日ですが、この日は行政機関の休日にあたるため、実務上は年始の開庁日までずれます。機構は去年の分について、その日付を名指しで書いていました。

日本年金機構の年金Q&Aの画面。質問は「手続きが遅れると年金生活者支援給付金は受け取れなくなりますか。」、更新日は2025年10月1日。答えは、はがきに記載している期限までに請求書が届くようにご提出いただけなかった場合も手続きは可能で、支給要件に該当する方が令和8年1月5日(月曜)までに日本年金機構へ請求書が届くようにご提出いただければ令和7年10月分から年金生活者支援給付金をお支払いできます、令和8年1月5日までに請求書が届かなかった場合は請求した月の翌月分からのお支払いとなりますので、お早めにご提出ください、と書かれている
問いは「受け取れなくなりますか」ですが、答えのどこにも「受け取れなくなる」とは書かれていません。この日を過ぎて変わるのは、受け取れるかどうかではなく、何月分から出るかです。

ただし遡れるのは、その年の10月分の要件にもう該当している人です。10月に入ってから世帯が変わって初めて該当した人は、請求した月の翌月分からになります。年始のその開庁日までに届かなかった請求も、同じです。

10月1日、所得の基準額は1万7,000円あまり高いところへ移ります。上がったと聞けば、新しい数字を探して自分の年金額と並べたくなります。老齢基礎年金だけで暮らしている人にその手間はいらず、要るのは年金の外で何が動いたかを思い出すことで、そこで何かが浮かんだ人が、令和7年の合計額を出します。

2026年8月14日時点の制度です。10月分から使う所得の基準額(82万6,500円、昭和31年4月1日以前生まれは82万4,100円。補足的老齢は92万6,500円/92万4,100円)は令和8年政令第226号によるもので、2026年7月15日公布・10月1日施行。9月分までは80万9,000円/80万6,700円、補足的老齢は90万9,000円/90万6,700円です。線と、満額の老齢基礎年金だけを受け取っていた人の暦年の支払額が同じ位置にあることは、公表されている各年度の年金額と、改定率を定めた政令から出した年額を、施行令の各時点版と編集部が突き合わせた観察であり、そう算定していると示した公表資料は確認できていません。画像にある令和8年1月5日は令和7年度分についての機構の案内で、令和8年度分の日付は9月以降に機構が示します。平均給付月額は令和7年3月時点の実績で、当時の給付基準額のもとでの数字です。根拠は法第2条第1項・第5条・第6条第1項、施行令第1条・第2条・第3条・第4条・第6条・第11条・第12条の2、および上記政令によります。

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