新築住宅の固定資産税の減額、3年度分は買う人ごとに数え直されません。完成済みの住戸を買うなら、完成から引き渡しまでに1月1日が何回入るかを数えます

共通組版のアイキャッチ。左に「3年度分は、売買で数え直さない」の文字と「完成済みの新築を買うときの、固定資産税の減額」の小見出し。右の濃い緑の円の中に、文字のない図形。生成り色の横長の券で、左右の縁が半円に切り欠かれている。券の面には同じ大きさの丸が3つ横に並び、左端の丸は穴として開いていて背後の濃い緑が透けており、その縁を朱色の輪が囲んでいる。中央と右の2つは開いておらず、券よりわずかに明るい生成り色で塗られ、淡い灰色の輪で囲まれている シニアの家計管理

秋に完成した建売を、年が明けてから引き渡してもらう。それだけで、資金計画に置いた3年度分は2年度分になります。

売れ残っていた住戸の話ではありません。値引きの話でもありません。完成と引き渡しのあいだに、1月1日が1回入っています。

新築住宅の固定資産税の減額は、家屋の税額を、一般の住宅なら3年度分軽くする制度です。この3年度分は、買った人ごとに数え直されません。先に過ぎた分は、買主の税額に乗らないまま終わります。

この記事は、すでに完成している住戸を買う人の話です。これから土地を決めて建てるなら、見ておく線が別にあり、そちらは前の記事にあります。

この3年度分は、完成した日からではなく、年度から数え始めます。条文はその年度を、「新たに固定資産税が課されることとなつた年度」と書いています。

年度は4月から翌年3月までの区切りで、固定資産税では毎年1月1日にその年度の中身が決まります。家屋がその日に建っていれば、その年度から課税の対象に入ります。令和8年度(2026年度)なら、2026年1月1日の状態で決まります。

数え始めが年度である以上、3つの年度がどこに置かれるかは、その住戸が建った時期で決まります。契約日も引き渡し日も、この置かれ方を動かしません。

ただし、置かれ方が動かないことと、3つとも自分の税額に乗ることは別です。引き渡し日は、置かれ方を動かさないまま、そのうち何年度分があなたに乗るかを変えます。固定資産税は毎年1月1日の所有者に課されるので、あなたが所有者になる前に来た1月1日は、その年度分ごと前の所有者の税額の話になります。

大阪市のウェブサイト「新築された住宅に対する固定資産税の減額措置」のページの一部。箇条書きに「上記以外の住宅の場合」「新たに固定資産税が課税される年度から3年間」とあり、その下に(注)として、固定資産税は賦課期日(毎年1月1日)に家屋を持っている人に課税されるという説明と、令和7年1月2日から令和8年1月1日までに新築された場合は令和8年度に課税されるという例、令和8年1月2日から令和9年1月1日までに新築された場合は令和9年度に課税されるという例が、この順で続けて書かれている
(注)は12か月をひとまとまりにして、例を2つ並べています。1月2日から翌年1月1日までに新築された場合は、日付が違っても課税の始まる年度が同じです。(大阪市「新築された住宅に対する固定資産税の減額措置」・2026年8月28日取得)

完成から引き渡しまでに1月1日が入らなければ、まだ何も過ぎていない

残りを数える前に、その住戸がそもそも減額の対象に入るかという入口が別にあり、床面積などの要件はそこで、残り年度数とは無関係に決まります。

対象に入るなら、そのあとは日付ではなく回数を数えます。完成から、引き渡しであなたがその住戸の所有者になる日までに、1月1日が何回入るか。答えは1つの数字です。

突き合わせる年数は、一般の住宅なら3年度分、3階建て以上の耐火・準耐火の建物なら5年度分です。この3年度分と5年度分が制度の年数で、数え方は変わりません。

完成の日か引き渡しの日が年末年始にかかっている住戸は、ここから先を自分で数えずに、市町村の資産税課へ回してください。1日の前後で回数が1つ動きます。

編集部が作成した図。見出しは「完成から引き渡しまでに、1月1日が何回入るか」。番号の付いた3つの箱が上から下へ矢印でつながっている。1の箱は「1月1日が1回」で、下に「2つ目の年度から最後までが、あなたの税額に乗る」。2の箱は「1月1日が2回」で、下に「3つ目の年度から最後までが、あなたの税額に乗る」。3の箱は「1月1日が3回」で、下に「4つ目の年度から最後までが、あなたの税額に乗る。3年度分の住宅には4つ目がなく、残りはゼロ」。いちばん下に赤い字で「3階建て以上の耐火・準耐火の建物は、5つ目の年度まで続く」、右下に「図:ゆたか日和編集部(地方税法と大阪市の説明をもとに作成)」とある
丸の中の数字は制度の年数ではなく、完成から引き渡しまでに入った1月1日の回数です。梯子は3段までなので、回数が4以上なら当たる段がありません。そこは下の引き算で出ます。

完成から引き渡しまでに1月1日が1つも入らないなら、年度はまだ1つも過ぎていません。制度の年数がそのまま残ります。ここで読み終えて構いません。

1回以上入っているなら、あなたの1年目は、その回数のぶん後ろへずれます。1回なら2つ目の年度から、2回なら3つ目の年度から。あなたの税額に乗る年度数も、制度の年数からその回数を引いた数になります。引いて残らないところまで来ていれば、ずれた先に年度はなく、残りはゼロです。当たる段がある人は、図で位置を見ても、この引き算で数えても、答えは同じです。

その「新築扱い」は、どの税の話か

未使用のまま売られている新築を買えば新築として扱われる、という説明があります。間違いではありません。ただし、それは不動産取得税に置かれた扱いです。その税の条文には、まだ人が住んだことのない新築住宅を買うことを、住宅を建てることに含める一句があります。

固定資産税のこの減額には、その受け皿がありません。買主に移った時点で年度を数え直す規定が、条文のどこにもない。だから、この説明を受けたら、どちらの税の話かを確かめてください。

この減額は、申告しないまま始まって終わる

では、市役所へ言えば数え直してもらえるのか。その場面がありません。

横浜市も神戸市も、この減額に申告は要らないと書いています。条文にも、この減額について申告の手続きは置かれていません。買主が数え始めの年度を申し出て、数え直してもらう手続きは、制度の中に用意されていないということです。

横浜市のウェブサイト「新築住宅に係る固定資産税の減額制度」のページの一部。「この制度の適用にあたって、申告は不要です(当該家屋の所在する区の区役所税務課家屋担当が各種資料や家屋調査等で確認します。)。」に続けて、「ただし、新築住宅が、認定長期優良住宅又は高断熱住宅(令和8年3月31日までに新築された住宅は認定低炭素住宅等)である場合は、申告が必要です。」と書かれている
申告は不要だと書いた文が、代わりに確かめる相手を括弧の中で名指ししています。区役所税務課家屋担当が、各種資料や家屋調査等で確認する側です。(横浜市「新築住宅に係る固定資産税の減額制度」・2026年8月28日取得)

この減額は、買主が何も出さないまま始まり、同じように終わります。だから買主は、請求が届いたあとではなく、買う前に動くことになります。

ただし、申告が要る区分もあります。その呼び名は新築された時期で分かれ、申告の要否の書き方も市町村のページごとに揃っていません。申告を求める書き方をしている市もあります。自分の市町村のページを見てください。

契約の前に、日付をふたつ並べる

売主にも仲介にも、質問はひとつで足ります。この住戸は、いつ新築されましたか。

もうひとつの日付は手元にあります。引き渡しの予定日です。どちらの日付も年末年始にかかっていなければ、この2つを並べるだけで、あいだに1月1日が何回入るかは自分で数えられます。年度は1月1日に家屋が建っていたかどうかで決まるので、聞いた答えも月まで分かれば足ります。かかっているなら、月ではなく日まで聞いて、そこから先は資産税課に確かめます。

書面で確かめたいなら、登記事項証明書に新築年月日の記載があります。ただし課税のための判定は、市町村がこれとは別に行っています。

「3年度分」も「5年度分」も、制度の年数であって、買主の条件ではありません。どの年度に置かれるかは住戸で決まっていて、間取りや方角と同じく、契約の前に売主へ質問できます。資金計画の行には、制度の年数ではなく、そこから自分の税額に乗る年度数を書きます。

2026年8月28日に確認した地方税法の条文と、同じ日に各市が公開していた記載によります。減額の年度数を「新たに固定資産税が課されることとなつた年度」から数えること、固定資産税の賦課期日が毎年1月1日で、その日の所有者に課税されることは、いずれも条文で確かめました。申告が要らないという記載は横浜市と神戸市のページで確認し、この減額の条項に申告の手続きが置かれていないことも条文で確かめています。ただし、申告を求める書き方をしている市もあり、その記載がどの制度に対応するのかまでは確かめていません。

確かめられていないことも残っています。地方税法にいう「新築された日」が具体的にどの日を指すのかは、条文にも、確認した市の説明にも定義が見当たりませんでした。登記事項証明書の新築年月日は、市町村が課税のために行う判定とは別の手続きで決まる記録で、同じ日になることを保証する規定は見つかっていません。未入居のまま販売されている住戸について、その年度の減額が現に適用されると明記した市の記載も見つかっていません。不動産取得税で未使用の住宅の購入を住宅の建築に含める条文は、その先を政令に委ねており、どの購入が実際に対象になるかは確認していません。

この記事が扱っていない範囲も書いておきます。減額の対象になるための要件の中身、減額される額と税額の計算、不動産取得税の要件には触れていません。申告が要る区分について、その呼び名そのものや、申告の期限・書類にも触れていません。市のページの表示は同日時点のもので、その後更新されている可能性があります。

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