父が亡くなり、相続人は母と、長女と、その弟で遠方に住む長男の3人です。長女は相続人として遺言書保管事実証明書を請求し、父の自筆の遺言が法務局に「保管されている」と分かりました(事実証明書の記事)。母と長男には、法務局からまだ何も届いていません。長女は次に、遺言の中身を確認できる遺言書情報証明書(1通1,400円)を郵送で請求しようとしています。公正証書遺言や、家に置いてあった遺言の話ではありません。
長女の請求で証明書が交付されると、母と長男の家には法務局から封書が届きます。関係遺言書保管通知という書面で、父の氏名と生年月日、遺言を預かっている法務局の名前、保管番号が書かれています。法務省の見本では欄はこの4つで、遺言に何が書いてあるかを書く欄はありません。法務省自身、「これだけでは、遺言書の内容は分かりません」と書いています。

母と長男が、この封書より先に長女から何を聞いているか。長女がそれを考えておけるのは、請求書を出す前です。
封書は、長女以外の相続人全員に届く
宛先には、まず父の相続人のうち、請求した長女を除く全員が入ります。この家では母と長男です。相続を放棄した人がいれば、法律はその人も宛先の相続人に含めています。
長女がその全員を数えることになるのは、請求書の上です。遺言書情報証明書の請求書には、父の法定相続人全員の氏名・生年月日・住所を書く欄があり、相続人の住所を証明する書類も添えます。

遠方の長男に住所の書類を頼む家では、その連絡のときに、遺言のことをどこまで話すかがもう問われます。
これとは別に、父が生前に希望していれば、父が指定した人に指定者通知が届きます。指定者通知は事実証明書の交付でも出ることがあるので、父が家族を指定していた家では、その人がもう保管を知っていることがあります。
中身は長女の手元にだけ届く
遺言の内容が書かれた証明書を受け取るのは長女だけで、母と長男の封書に中身はありません。二人が法務局から中身を受け取るには、それぞれが自分で閲覧(法務局で遺言を見ること)か証明書を請求します。封書を受け取った人の請求では、長女のときより添える書類が少なくて済みます。
長女が先に話すとすれば、伝えられるのは、父の遺言が法務局にあること、長女がその中身を取ること、読んだら内容を知らせるつもりかどうか。どこまで伝えるか、伝えないかは家族で決めることで、法務省や法務局の案内に、先に話すべきかどうかの助言は見当たりません。
封書は証明書の交付を受けて速やかに出されますが、交付から何日で届くかの目安は示されていません。請求書を出してから話すつもりなら、長女の連絡が封書より先に着くとは限りません。
長女の側で封書を止める手続きは、法務省の案内にありません。法律には、受け取る人が既に知っているときは通知しないという例外があります。ただ、先に話しておけば封書が来ないとは書かれておらず、指定者通知で知っている場合も含めて、法務局がそれをどう判断するかは公表されていません。先に話した家族にも封書は届きうるので、話すなら、そのことも一緒に伝えておくことになります。
相続人のほかに届く人は、遺言の中に書かれている
封書の宛先には、相続人のほかに、遺言で財産を受け取る人(受遺者)と、遺言の内容を実現する役の遺言執行者も入ります。誰がそれに当たるかは父の遺言に書いてあるので、長女には中身を読むまで確かめようがありません。父が家族以外の人に財産を遺していれば、その人にも同じ封書が届きます。

封書より先に長女の口から伝えておけるのは、宛先のうち母と長男の分だけです。
2026年10月27日時点。法務省の自筆証書遺言書保管制度の案内(相続人等の手続、通知、よくあるご質問)、遺言書情報証明書の交付請求書の様式と記入上の注意事項、法務局における遺言書の保管等に関する法律・政令・省令(以上、2026年10月27日確認)によります。手数料は法務省「相続人等の手続」(2026年3月1日更新)の額です。

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