名義が親のままの土地でも、次の1月1日からの固定資産税は相続人の税。土地のある市区町村への申告の期限は、その日から数えない

共通組版のアイキャッチ。左に「名義が親のままでも、親の税ではなくなる」の文字と「親の名義のままの土地と、現所有者の申告」の小見出し。右の濃い緑の円の中に、文字のない図形。斜め上から見た一枚の土地の断面で、上面は緑の芝に覆われ、奥に生成り色の木が2本立っている。地面の下に地層が三枚重なり、上と下の層は生成り色、真ん中の一枚だけが朱色 シニアの家計管理

例として、母が2026年の夏に亡くなったとします。実家の土地と家は母の名義のままで、母はその実家に住んでいました。相続人は兄弟2人で、分け方はまだ決まっていません。兄は、法務局に「自分が相続人だ」と申し出る簡単な登記の手続き(相続人申告登記)を済ませました。手元には、今年度の固定資産税の納税通知書が母の名前で届いています。

この土地と家の固定資産税は、次の1月1日を境に、母の税ではなくなります。名義が母のままでも、その年度からは、実際に持っている兄弟に、兄弟自身の税として課されます。

この税について兄弟に求められているのは、土地のある市区町村へ、自分たちが今の所有者だと申告することです。兄の相続人申告登記とは別に出します。そして、この申告の期限は1月1日を待たずに来ることがあります。

1月1日に、税の持ち主は届けを待たずに替わる

固定資産税は、毎年1月1日の所有者に課されます。その日より前に名義人が亡くなっていれば、法律は名義ではなく、その日に土地や家を現に所有している人を所有者として扱います。この決まりは、令和2年(2020年)に申告の仕組みができるより前から法律にあり、誰かが届けるかどうかと関係なく、1月1日が来れば働きます。

ですから、申告を出したから税が兄弟に移るわけではありません。申告は、名義人に代わって今だれが持っていて、どこに住んでいるかを市区町村に伝えるものです。

年内に相続登記まで済めば、翌年度からは登記簿上の新しい所有者に課されます。この例のように分け方が決まらないまま年を越せば、1月1日に土地と家を持っているのは兄弟2人です。

手元にある母の名前の通知書は、立場が違います。今年の1月1日には母が存命だったので、今年度の分は母の税です。母が亡くなったあとは、相続人がその納税を引き継いで払います。

「同じ土地でも、1月1日の線の左右で税の立場が違う」という見出しの図。横軸の真ん中に「母が亡くなった後の最初の1月1日」の線。上の段「亡くなった年度の分(母の名前の通知書)」は線の左側だけに枠があり「母の税を引き継いで払う」。下の段「次の1月1日からの年度」は線の右側だけに緑の枠があり「兄弟自身の税」
手元にある母の名前の通知書は、左の枠の1年分です。右の枠は、名義を書き換える手続を待たずに、線を越えた年度から始まります。

申告の期限は、1月1日より先に来ることがある

令和2年の改正で、名義人が亡くなったあとの今の所有者(現所有者)に、住所や氏名を市区町村へ申告させる仕組みができました。申告を求めるかどうかも期限も、各市区町村の条例が決めます。調べた市区町村は、どこもこの申告を求めていました。

期限は1月1日からではなく、自分が今の所有者だと知った日の翌日から数えます。確かめた条例(福岡市・横浜市・東京都・川西町)はそろって3か月で、大阪市と名古屋市の案内も同じ書き方です。

大阪市「現所有者に関する申告など」のページの一部。「固定資産のある区を担当する市税事務所(固定資産税(土地・家屋)グループ)へ提出してください。(注)郵送・オンラインでの申告も可能です。電話・ファックス・電子メールでの申告は受け付けていません。」に続き、見出し「申告できる方」の下に「賦課期日において、現に固定資産(土地・家屋)をお持ちの方」、見出し「提出期限」の下に「現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日まで」
提出期限の欄が起点に置いているのは「知った日」で、数えるのはその翌日から。一つ上の欄の「賦課期日」は1月1日のことですが、期限の欄はその日を使っていません。

横浜市の案内は、登記簿上の所有者が亡くなった場合、今の所有者だと知った日から3か月以内に申告が要る、と書いています。この書き方に沿えば、夏に亡くなった母の土地では、3か月が2026年のうちに過ぎることがあります。税が兄弟のものになる1月1日より先に、申告の期限が来るということです。

知った日がいつに当たるかは市によって書き方がそろわず、この記事では一つに決められません。申告をしなかったときの過料(10万円以下)を、条例に置いている市区町村もあります。

出す先は、土地と家がある市区町村です。東京23区なら、区ごとの都税事務所になります。土地が複数の市区町村にあれば、それぞれに出します。

様式の名前は市区町村ごとに違い、今年度の分の書類を受け取る人を決める届けと1枚になっていることもあります。兄弟2人のような共有なら、一人がもう一人の分もまとめて申告でき、そのときもう一人は出さなくてよい、と案内しているところもあります(東京23区)。

申告が要らなくなる条件も、市で違います。横浜市は、知った日から3か月以内に所有権の移転登記が終わっていれば不要としています。八王子市は、亡くなった年の12月末までに相続登記が終われば不要です。この例では、兄弟が分け方を決めないまま、その時点までに登記を終えないものとします。それなら申告を出す側です。

市から様式が届くかどうかも、市によります。親が別の市に住んでいた場合は、土地のある市が死亡を知らないことがあるので、自分から連絡します。

2026年4月からは、法務局も市に知らせる

2026年4月からは、相続人申告登記がされると、法務局がそのことを土地のある市区町村へ知らせるようになりました。相続人申告登記の記事では、市への申告とは根拠の法律も出す先も違う手続きだと書きました。その違いは今も同じですが、市に何も伝わらないわけではなくなっています。

ただ、法律が市区町村に課税台帳の書き換えを義務づけているのは、相続登記を含む所有権の登記の知らせを受けたときです。相続人申告登記の知らせは、そこに含まれていません。この知らせで申告が要らなくなるとは、条文にも、調べた市区町村の案内にも書かれていません。市がこの知らせを実際にどう扱っているかも、調べた範囲の資料では分かりませんでした。要らないと書いたものがない以上、兄の登記があっても、申告は出すものとして動きます。

夏に亡くなったこの例では、この記事を書いた10月の時点で、期限はもう近いか、過ぎているかもしれません。兄弟が次にすることは、年明けを待たずに、実家の土地と家がある市の固定資産税の担当へ連絡し、この例で期限がいつまでかを尋ねることです。過ぎていたとしても、気づいた時点で連絡します。様式の名前や、兄が二人分をまとめて出せるかも、その電話で確かめられます。

2026年10月1日時点の地方税法と、東京都・横浜市・大阪市・八王子市などの案内・条例によります。

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