取り壊した実家の土地、分け方が決まる前なら自分の相続人申告登記で期限に間に合う

共通組版のアイキャッチ。左に「分けたのが先か、届け出が先か」の文字と「親の名義のままの土地と、相続登記の期限」の小見出し。右の濃い緑の円の中に、文字のない図形。生成り色の風呂敷包みが一つ、上で結ばれて結び目の両側に耳が立っている。結び目から細い紐が右へ下り、包みの右肩に朱色の荷札が一枚かかっている シニアの家計管理

親の相続が始まったことと、この土地を相続で取得したこと。この二つを令和6年4月1日より前に知っていたなら、土地の相続登記の期限は令和9年3月31日です。それ以後に知ったなら、二つとも知った日から3年です。2026年9月26日の時点で、令和9年3月31日まではおよそ半年あります。

兄弟など相続人のあいだで、土地の分け方がまだ決まっていないなら、その状態のまま期限に間に合わせる手続きがあります。相続人申告登記です。期限までにこれを申し出た人は、相続登記の義務を果たしたものとみなされます。

建物の登記は滅失登記を済ませても、土地の登記は親の名前のまま残ります。

相続分の割合を決めないまま出す届け出

法務局へは、親に相続が始まったことと、自分がその相続人であることを申し出ます。法務省の案内によれば、「法定相続人の範囲・法定相続分の割合の確定が不要」です。

法務省「相続人申告登記について」のページの一部。「手続の基本的な流れは相続登記の申請と同様ですが、以下のような特徴があります。」に続けて、「特定の相続人が単独で申出可(他の相続人の分も含めた代理申出も可)」「申出手続(オンラインでも可)において、押印・電子署名は不要」「専用のソフトウェアを利用することなく、Webブラウザ上で手続が可能(かんたん登記・供託申請の利用が可能)」「法定相続人の範囲・法定相続分の割合の確定が不要(提出書類も少ない)」「登録免許税がかからない」の5項目
「提出書類も少ない」の括弧は、単独で出せるという1つ目の〇ではなく、割合の確定が不要という4つ目の〇に付いています。

登録免許税はかからず、基本の書類は、申出書、自分が相続人だと分かる戸籍の証明書、住所を証する情報の三つです(法務省の案内、2026年9月26日確認)。

一人で申し出られますが、義務を果たしたとみなされる効果は、申し出た本人にしか及びません。ほかの兄弟の分は、その兄弟から委任を受けて、案内のいう「他の相続人の分も含めた代理申出」の形で出せば、代理された兄弟も申し出たことになります。この場合は委任状も添えます。

市役所へ現所有者の申告や相続人代表者の届を出していても、相続人申告登記を済ませたことにはなりません。現所有者の申告は固定資産税のために市町村へ出すもので、根拠の法律も出す先も違います。

分割が申出より先に済んでいたら

申し出るより前に遺産分割が済んでいると、この届け出は効きません。

条文は、義務を果たしたとみなす範囲から「申出の前にされた遺産の分割」による取得を外しています。法務省の案内も、遺産分割に基づく相続登記の義務はこの届け出では果たせない、と書いています。

法務省「相続人申告登記について」の制度の概要の一部。「なお、相続人申告登記は、簡易に義務を履行することができる一方で、以下のような留意点があるため、直ちに遺産分割や相続登記の申請をすることが難しい場合などに、義務を果たすために利用いただくことが想定されます。」に続けて、「不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、別途、相続登記の申請をする必要がある」「遺産分割に基づく相続登記の申請義務を履行することはできない」の2項目
法務省は〇2つの前置きで、この届け出を「直ちに遺産分割や相続登記の申請をすることが難しい場合など」に使うものと位置づけています。分け方がまだ決まらない相続人は、案内がはじめから想定している使い手です。

その場合、分割で土地を得た人は、期限までに、名義を自分へ移す相続登記を申請します。

ですから、今日確かめることは一つで足ります。この土地を誰のものにするか、相続人どうしの話し合い(遺産分割協議)でもう決まっているか。話し合いが調わず、家庭裁判所でも分け方がまだ決まっていないなら、申出で間に合う側です。

「遺産分割があったのは」という見出しの図。横長の帯が中央の縦線で左右に分かれ、左は「申出の前」、右は「申出の後」。境の線の下に「期限内の相続人申告登記」。左の下に「申出では義務を果たせない。期限までに相続登記」、右の下に「申し出た人が土地を得たら、分割の日から3年以内に相続登記」。下に赤字で「申出の後に売る・抵当権を付けるときも、別途、相続登記」
境目の線は、暦の日付ではなく届け出を出した時点に引いてあります。

申出のあとで分割が決まったら

自分の申出を済ませた人が、そのあとの分割で土地を得たときは、分割の日から3年以内に相続登記を申請する、という別の期限が新しく立ちます。

もう一つ、この届け出は土地が誰のものかを示す登記ではありません。売るときや抵当権を付けるときは、その前に相続登記が要ります。

分け方が決まる前に、期限までに申し出た人にとって、暦で決まっていた期限はそこで片づきます。その先は、兄弟が分け方を決めた日か、売ると決めた日に、この土地の登記がもう一度動きます。

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