バリアフリー改修をすると、翌年度の固定資産税が減ります。要件のひとつが、工事費50万円超。
国や自治体から補助金を受け取っていれば、その分は工事費から引かれます。50万円を超えるかどうかは、引いたあとの額で見る。引かれるのは補助金だけではなく、介護保険の住宅改修費で出た分も、同じように差し引いてから判定されます。

国の説明資料のほうは、こう書いています。「工事に要した費用から補助金等を差し引いた額が、50万円(税込)を超えていること」。介護保険という言葉は出てきません。政令は補助金等と別に、介護保険の二つの給付を名指しで並べています。引かれるのは、その改修工事の費用に充てるために受けたものです。
介護保険の住宅改修費は、20万円までが対象になります。自己負担1割の人なら、18万円が出る。
手すりを何本かと、段差の解消。この規模で20万円の枠に収まる工事なら、引いたあとに残るのは、多くても2万円です。届く届かないという距離ではありません。介護保険の住宅改修費だけは、着工前に市町村へ申請します。着工してからでは、原則として出ません。この規模で終わる予定の人は、ここから先を読む必要がありません。
残るのは、それより大きい工事をする人です。
ここで静かに落ちるのが、総額では50万円を超えている工事のほう。たとえば60万円の改修。同じ工事で介護保険を使っていれば、判定に使われるのは42万円です。

自己負担1割の人が20万円の枠を使い切っていれば、入口が立つのは総額が68万円を超えたところです。負担割合が2割・3割なら、介護保険から出る額が小さくなるぶん、線はその分手前に来ます。
割合ごとの数字を覚える必要はありません。見積書で見るのは総額の欄ではなく、そこから補助金や介護保険で出る分を引いた額です。
ただし費用はいくつかある要件のひとつで、越えたからといって減額が決まるわけではありません。
減るのは、翌年度の1年分だけ
減るのは、工事が完了した年の翌年度分の固定資産税です。その1年度分について、家屋にかかる税額の3分の1が引かれます。土地の分は減りません。次の年度からは元に戻ります。
本巣市が計算例を公開しています。課税標準額600万円・床面積100㎡の家で、2万8千円。

戻る額を決めているのは、工事費ではなく家屋の課税標準額です。しかも、3分の1が引かれるのは100㎡分の税額までです。工事を大きくしても、この額は動きません。
だから、線に届かせるために工事の中身を足すのは割に合いません。さきほどの60万円の見積もりを68万円超まで積み増すと、上乗せは8万円あまり。返ってくるのは、この家なら2万8千円で、しかも1年度きりです。
介護保険は工事の前、固定資産税は工事のあと
浴室を作り替える、通路を広げる。工事の規模が、税ではなく暮らしの必要のほうから決まることはあります。
その工事でも、さきほどの着工前の申請は変わりません。出す先は市町村の介護保険担当です。固定資産税の減額はその逆で、工事が完了した日から3か月以内に、資産税の担当へ申告します。
同じ一回の工事なのに、動くべき時点が工事の前と後に分かれ、窓口も別になる。
介護保険で18万円が出た人は、固定資産税の側から見ると、その18万円分の工事をしていないことになります。
二つの制度は、足し算になりません。
2026年8月時点。減額額の例は本巣市が公開している計算例で、標準税率1.4%で計算されています。この例は課税標準額600万円・床面積100㎡の家のもので、課税標準額が違えば減額される額も変わります。税率は市町村により異なります。介護保険から出る額は自己負担の割合(1〜3割)で変わるため、工事費から差し引かれる額も人によって違います。

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