改修後の床面積が260㎡の家が2軒あります。減額は工事が終わった年の翌年度分に乗るので、どちらも令和9年度の固定資産税の話です。バリアフリー改修の減額について、片方は床面積の要件を満たし、片方は満たしません。違いは、改修工事をしたのが令和8年の3月か、5月かだけです。
床面積の要件が、50㎡以上280㎡以下から40㎡以上240㎡以下になりました。下限が下がり、上限が縮んでいます。そして今、この2つの数字は両方とも生きています。令和9年度という同じ年度の固定資産税の中で、2本のものさしが並んで走っています。
どちらのものさしで測られるかは、申告した日でも、減額を受ける年度でも決まりません。改修工事が行われた日が令和8年4月1日以後かどうか、その1点だけです。
そのうえで、2本あることが実際に効くのは、2つの帯だけです。40㎡以上50㎡未満と、240㎡超280㎡以下。この2つの帯に入らない家は、どちらのものさしで測っても床面積の答えが同じです。工事の日を確認するまでもありません。
工期がその日をまたいでいる場合は、どちらで扱われるか確認できていません。

この制度には、もう一つ100㎡という数字があります。240㎡とは別のものです。40㎡以上240㎡以下は、対象になるかどうかの入口。100㎡は、対象になったあとに減額額を計算するときの上限で、税額の3分の1が引かれる範囲を100㎡分に限ります。入口の上限を超えれば減額そのものがありませんが、120㎡や150㎡の家が100㎡を超えているからといって、対象から外れることはありません。減額額の伸びが止まるだけです。
古い数字のほうが正しい人がいる
残った2つの帯のうち、大きい側から見ます。
令和8年3月31日までに工事をした240〜280㎡の家は、古いものさしで測られます。床面積の要件は、いまも満たしています。

この家の人が自分で調べると、対象外という答えが出ます。手元の床面積を、いま書かれている数字に当てはめるからです。取れたかもしれない減額を、床面積の数字だけを理由に手放すことになります。
これから改修をするなら、240㎡が壁です。280㎡までの猶予はもうありません。令和8年4月1日はすでに過ぎています。240㎡を超える家では、資金計画からこの減額が1項目落ちます。
反対の端では、外れるのではなく入る話になります。40㎡台の住宅と、40㎡台のマンションの専有部分です(ただし専有部分の測り方は、資料によって記載が分かれています)。令和8年3月までに行った工事では数字のうえで門前払いでしたが、令和8年4月1日以後の工事なら、床面積の入口を通ります。先に「50㎡以上」という数字を見て、そこで調べるのをやめていた人は、持っている前提のほうが古くなっています。
どちらの端の話も、床面積という入口ひとつ分です。工事費にも要件があり、そちらは補助金や介護保険で出た分を引いてから数えます。
確かめる先は、市のページの外にある
自分の帯が分かっても、目の前のページ1枚では結論が出ません。今回12の自治体のページを2026年8月19日に見たところ、10自治体は新旧の床面積要件を併記しています。前橋市は令和8年度の改正に触れず、旧要件だけを載せています。神戸市は床面積の数値が40㎡以上240㎡以下に直っている一方、冒頭の適用期間が「2026年3月31日まで」のままで、同じページの中で数字と期間が食い違っています。
この「2026年3月31日」は、ここまで見てきた令和8年3月31日と同じ日で、改正前はこの制度そのものの期限でした。制度は終わっていません。適用期間は令和13年3月31日まで5年延びています。
国の資料に当たっても同じです。国土交通省の「令和8年度税制改正概要」も、総務省の「令和8年度地方税制改正(案)について」も、下限が40㎡に下がったことだけを書いていて、上限には触れていません。上限に触れた改正の説明は、与党が決めた令和8年度税制改正大綱にあります。上限が280㎡から240㎡へ動いたこと自体は、政令の改正前後の条文を突き合わせれば確かめられます。
国土交通省はバリアフリー改修のパンフレットも出しています。改正を説明する資料と、いまの制度を案内する資料は別です。案内する紙には、現行の40㎡以上240㎡以下がそのまま載っています。

古いものさしで測られる工事は、令和8年3月31日で打ち止めです。減額は1年度分きりなので、これから届く分でいえば、50㎡以上280㎡以下が税額を動かせる年度は令和9年度で終わります。令和10年度からは、40㎡以上240㎡以下の1本になります。
両端の2つの帯にいるなら、手元の床面積を見て、自分は対象外かどうかを、ページを読み終えた時点で決めない(区分所有で境目に近い場合も同じです)。工事をした日が分かる書類を持って、市町村の資産税担当に聞く。決めるのは、そのあとです。
2026年8月19日に、地方税法施行令の現行条文と改正前条文(e-Gov法令検索)、国の資料、各自治体のページを確認した時点の内容です。新旧どちらの床面積要件が適用されるかを改修工事が行われた日で分ける経過措置は、改正政令の附則によります。工期が令和8年3月と4月にまたがっている場合にどちらで扱われるかは、条文が「改修工事が行われた」としか書いておらず、着工日とも完了日とも書かれていないため、確認できていません。マンションなど区分所有の住宅について、40㎡以上240㎡以下という数値が専有部分にも同じく適用されることは条文で確認していますが、その面積を何で測るかは資料によって記載が分かれており、本記事では扱っていません。240㎡を超える住宅や40㎡台の住宅が全国にどれだけあるかは、公表統計の面積区分が粗く算出できていません。多いとも少ないとも書いていないのはこのためです。前橋市・神戸市のページの記載は同日時点の表示を確認したもので、各市への問い合わせは行っておらず、その後更新されている可能性があります。減額を受けるための要件は床面積のほかにもあり、本記事では工事費の数え方と制度の適用期限に1行ずつ触れたほかは扱っていません。申告の手続きと期限にも触れていません。

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